Well-beingの実践「ポジティブ心理学」セミナーレポート
左右田です。4月13-14日にベルサール御成門で行われた、Giveness InternationalとYeey Inc主催の、ポジティブ心理学 プラクティショナー認定ワークショップ「企業・教育・健康におけるwell-beingの実践と応用」に参加してきた。
21世紀型の組織においてwell beingを高める事が、その組織の繁栄や利益の追従に繋がると考えられている昨今。そのため今SDGs等と並び、最先端の新しい社会的意義として注目されている分野。筆者もWell beingの関心と、「幸福」という主観的で客観的に定義をしづらい項目を、どのように企業や社会全体が取り入れ実践していけるのか関心が高く、世界的権威の声を直接聞くことができるイベントという事で楽しみにして足を運んだ。
登壇者はアメリカでポジティブ心理学に関して世界的権威を持つ四人のスピーカー。マーティン・セリグマン、エド・ディーナー、タル・ベン・シャハー、エミリー・スミス。超満員の会場の中、講義が行われた。
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マーティン・セリグマン
ペンシルバニア大学教授でポジティブ心理学の第一人者で世界的権威をもつセリグマン氏。
彼がポジティブ心理学に関して研究を始めた40年前は、心理学というと、鬱や落ち込みなど、ネガティブなものに焦点を当てられていた。
なぜなら、ポジティブなものは測定が難しいから、その項目が学問として成立すると思われなかったのだ。
時代を経て、ようやくポジティブ心理学というものが学問として受け入れられるようになり、今やwell being=社会的幸福の追求が良いものとみなされるようになった。ネガティブさよりもポジティブさに関心を寄せるべきという彼は、PARMAを提唱。
P ositive / Emotions feeling good – ポジティブ
E engagement / finding flow – 加担する
R elationships / authentic connections – 関係性
M eaning / purposeful existence – 意味
A achievement / a sense of accomplishment – 遂行する
ポジティブ心理学の分野において、社会的な大きな研究を大学、企業、政府や国際機関など大きな団体と行ってきているセリグマン氏。現在はポジティブ教育、これからはポジティブ心理療法に関わっていくために動いている。
彼の最先端のwell beingの政治的介入について世界規模の研究。その研究の最近の興味深い情報としては、主観的ウェルビーイングの低いエリアの人々がトランプに投票したという結果が出ている。
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エド・ディーナー
アメリカのウタ大学とバージニア大学の教授の心理学者のエド・ディーナー氏。
ディーナー氏の基調講演のテーマは「この人生で より幸せにいること」。
ディナー氏曰く、これからの幸福は与えるという事。例えば、他者を助けたり、寄付をしたり、ボランティア活動に励んだり。
そして、 回復力もまた、幸福である。ストレスから立ち直ったり。うつ状態を長引かせないような
幸せは外側と内側両面があるが、ダライ・ラマが提唱するような、内側の幸せという形もある。
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エミリー スミス
The Power of Meaning(意味の力) の著者、作家であり、ジャーナリストであるエミリー・エスファハニー・スミスの基調講演。
スーフィー教徒の一家で育った彼女は、人生において愛と優しさを、瞑想や哲学など宗教的慣習から学んだスミス氏は、生きる意味についての研究をしている。彼女の講義の中で一番興味い事は4つの生きる意味に関するカテゴリーについて。
彼女のウェブサイトで発表している簡単な心理テストを行うと、自分自身がどのカテゴリーに属しているのかを知ることができる。
彼女が考えるカテゴリーは以下の4つ。
1 – 絆(所属感)
2 – 真の目的
3 – 超越性
4 – ストーリーテリング
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1 – 絆(所属感)
自分が理解され、認められ、受け入れられ、価値を与えていると感じる仲間を見つけ、関係を作りあげること。
そのつながりや所属感に人生の意味を感じる。
積極的で積極的な会話を行うことで、所属感を更に増長することができる。
2 – 真の目的
真の目的は、あなたの「なぜ」であり、生きる理由や生きがいを人生に求めること。
私たちの理想の世界を作るとき、自分の行動がどのように他者を助けるかを考えるとき、真の目的を考え、それがアクションを起こす動機となる。
3 – 超越性
日常の世界観を超えて、壮大で意味深い何かとのつながりを感じる事。
私たちの自己の感覚から解き放たれ、他者や全てと深く繋がった感覚になる。例えば、瞑想や祈りをしているとき、高くそびえ立つ木を見た時に何か壮大なものの一部である事を感じたり、時間が止まったりする事を感じたり。
4 – ストーリーテリング
バラバラの経験を集めて、筋の通った物語を組み立て、自分自身や世界との意味を理解する。一本の筋が通る。
例えば、書く事で意味や意義を見出すことができる。
実際に会場で、この4つの柱について来場者がワークショップ形式で答えた所、絆と真の目的が一番多く、その次がストーリーテリング、一番劇的に数が少なかったのが超越性であった。
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タル・ベン・シャハー
今回の4人のスピーカーの中で最も感銘を受けたスピーカーがポジティブ心理学の研究者であり、ハーバード大学でも教鞭を取っている、タル・ベン・シャハー。
シャハー氏によると、幸福とは自分の中にある辛さや怒りを認めた状態を指して、俗にいう表層的なhappy感とは全く違うもの。そういう陰の部分も認めて人間らしく生きる事がwell-beingに繋がる。怒りや憎しみはその感情に蓋をすると増長する。その感情が出た時は押し殺さずに、自分で振り返ったり、家族に話したりして健康的に解決すべきであるとのこと。giverとtakerはどっちが得するのかという質問に関しては相手にも与え、自分にもgivesするgiverが一番特をし、自分に見返りっぽい与えないgiverは一番損をするとの事。良かれ悪かれその中間であるという。
様々な企業をリサーチした結果、一番素晴らしい企業として分析された企業は、「“and”という部分を助長する天才」を支援する会社だったという。主軸になる何か以外の他のものも認める会社。
ストレスは仕事を助長するよいカタリストにもなるし、それにはそれを助長するための回復力が必要であるから適切な休息が必要。
精神的なストレスや感動は身体のどこかいつも響いてるから、それを第三者からみた好奇心に目で観察してあげる時間を持てというのも非常に面白い。
シャハー氏の講義は、メッセージが明確でスライドや講義のトーンも含めてシンプルで分かりやすく、抽象的な話題にも関わらず自分の身近に感じられるような内容で、特に印象に残った。
wellbeing は今SDGs等と並んで、どこの企業でも最先端の新しい社会的意義を形づくる重要項目として認識されている議論。
社会全体が取り組まないと絶対に変わらないと思うので、心理的な幸福が追求されることに企業が取り組んでいく時代が来たことが心から嬉しい。
同時に、心理的幸福は簡単に計測しづらく判断もしづらい項目なので、ある種時に不可解で非常に複雑な事と立ち向かう事でもあると私自身は感じている。
TEXT BY TOMOMI SAYUDA